微分の表記方法

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微分の表記方法

 ここまで微分の概念について説明をしてきた。ここでは微分の表記方法について説明をする。あまり重要ではないと思うかもしれないが、覚えておかないと後で苦労するのでしっかり覚えてもらいたい。
 微分には様々な表記方法があるが、高校数学・高校物理でよく使われるのはラグランジュ記法、ライプニッツ記法、ニュートン記法の\(3\)つである。ちなみに記法の名前を覚える必要はない。

ライプニッツ記法

 ライプニッツ記法は今まで記してきたように、微分をダッシュ(‘)を用いて表記する方法である。因みに、ダッシュの数は微分する回数である。つまり、\(f(x)\)を二回微分したら\(f^{\prime\prime}(x)\)、\(3\)回微分したら\(f^{\prime\prime\prime}(x)\)という感じになる。微分が\(2,3\)回くらいであれば、ダッシュを付け足せばよいが、\(10\)回とかになると面倒臭いことこのうえない。そこで、\(10\)回微分した場合は、\(f^{(10)}(x)\)という風に\(f\)の上に( )をつけて微分回数を表すこともできる。

ラグランジュ記法

 ラグランジュ記法とは、微分を微小量を表す記号を用いて分数のような形で表す方法である。「ちょっと何言ってるか分からない」と思った人もいるだろう。順番に説明していこう。
 まず、微分の定義式(1)式を見てもらいたい。この式の分母は\(x\) の微小変化量、分子は \(y\) の微小変化量を表している。\(h\)を\(0\)に近づけていくと、この微小変化量がどんどん小さくなっていく。
  \(x\) の微小変化量と \(y\) の微小変化量が限りなく小さくなった時、\(x\) の微小変化量を\(h\)ではなく\(dx\)、 \(y\) の微小変化量を \(f(x+h)-f(x)\) ではなく \(dy\) と書き表すことにする。\(d\) は「極めて微小な差」を意味している。すると、微分の定義式である(1)式は
\[a=\frac{dy}{dx}\]
と表せる。ライプニッツ記法と併せると、
\[f'(x)=\frac{dy}{dx}\]
となる。この \(\frac{dy}{dx}\) という表し方をラグランジュ記法という。物理ではこの方法が最もよく使われる。ここまでの説明を理解していただけた人であれば、
最初の文で言ったことがわかるだろう。
 また、ライプニッツ記法のように、\(y\)を\(n\)回微分したとすると、
\[f^{(n)}(x)=\frac{d^n y}{dx^n}\]
と表せる。分子は\(d\)の肩に\(n\)を、分母は\(x\)の肩に\(n\)を乗せることに注意してほしい。また、上記の方法を少し変えた
\[\frac{d}{dx}y \]
\[\frac{d}{dx}(f(x)) \]
\[\frac{d^n}{dx^n}(f(x))\]
という表し方もよく使われるので覚えておくとよい。
 蛇足かもしれないが、\(\frac{d^n y}{dx^n}\)と\((\frac{dy}{dx})^n\)は全く別物である、ということを注意しておく。\(\frac{d^n y}{dx^n}\)は\(y\)を\(x\)で\(n\)回微分するという意味で、\((\frac{dy}{dx})^n\)は\(\frac{dy}{dx}\)を\(n\)乗するという意味である。
 \(y\)が\(x\)以外の関数の微分を考えてみよう。
 例えば、\(y\)が\(t\)の関数であったとすると、yの微分は \[\frac{dy}{dt}\]
と表せる。

ニュートン記法

 これまでの説明では、\(y\) は \(x\) の関数であったが、物理では時間\(t\)の関数であることが多い、というかほとんど\(t\)の関数である。
 そこでニュートンは「毎回 \(\frac{dy}{dt}\) って書くのだるくね?もっと楽な表記方法考えたろ」と(たぶん)考え、
\[\dot{y}=\frac{dy}{dt}\]
と文字の上にドット(・)をつけて表す方法を編み出した。この記法は、慣習的に時間\(t\)で微分するときのみに用いられるので、
 \(\dot{y}\) を \(\frac{dy}{dx}\) の意味で使ったり、\(y’\) を \(\frac{dy}{dt}\) の意味で使ったりするのは避けたほうがよい。