いままでは、自由落下や鉛直投げ上げ・投げ下げなどの一直線上の運動を扱っていました。今回は、いわゆる放物運動について勉強しましょう。これで速度・加速度についてはおしまいです。
これから式についていろいろ追っていきますが、ポイントはただ1つ!
「水平投射と斜方投射は、水平方向の等速直線運動と鉛直方向の等加速度運動に分解できる」です。
今回の目標は、水平投射と斜方投射の式が書けることです。では、順番にゆっくりみていきましょう。
水平投射
水平投射は、水平方向の等速直線運動と鉛直方向の自由落下運動に分解できます。水平投射した物体が描く軌道は、放物線になります。
水平方向は等速直線運動だから、速度と変位の式は
鉛直方法は自由落下運動だから、速度と変位の式は
斜方投射
斜方投射は、水平方向に \( v_0 \cos\theta \) の等速直線運動、鉛直方向には初速度 \( v_0 \sin \theta \) の投げ上げ運動に分解できます。斜方投射の軌道も放物線となります。
水平方向は等速直線運動、鉛直方向は投げ上げ運動ですから、速度の式は
\begin{align} v_x = v_0 \cos\theta , v_y = v_0 \sin\theta – gt \end{align}
また、変位の式は次のとおり。
\begin{align} x = v_0 \cos\theta\cdot t , y = v_0 \sin\theta\cdot t – \frac{1}{2}gt^2 \end{align}
便利な性質
鉛直方向は、投げ上げの運動ですから最高点を境に対称な運動をします。
つまり、
- 同じ高さのとき、速さは同じ
- 最高点に達するまでの時間は、上向きの初速度÷重力加速度
という性質が使えます。
ですから、最高点に達するまでの時間 \(t\) は
と表すことができます。
補足(最初は読み飛ばして大丈夫です)
水平投射の軌道が放物線になることを確かめましょう。
より、\( t = \frac{x}{v_0} \) を \(y\) の式に代入すると
従って、水平投射の軌道は放物線になります。
斜方投射についても同様に確認できます。
\begin{align} x = v_0 \cos\theta\cdot t , y = v_0 \sin\theta\cdot t – \frac{1}{2}gt^2 \end{align}
よって、\( t = \frac{x}{v_0 cos\theta} \) を\(y \)の式に代入して
\begin{align} y &= \frac{v_0 x \sin\theta}{v_0 cos\theta} – \frac{1}{2} \frac{x^2}{v_0^2 \cos^2\theta}g \\
&= – \frac{g}{2v_0^2 \cos^2\theta}x^2 + x \tan\theta \end{align}
\(y\)が\(x\)の二次方程式で表せたので、放物線を描くということがこれで証明できました。
まとめ
水平方向と鉛直方向に運動を分解することが唯一のポイントでした。それぞれの場合で、式を自分で書けるようになったでしょうか?今回のポイントをまとめましょう。
- 水平投射は、水平方向の等速直線運動と鉛直方向の自由落下運動に分解
- 斜方投射は、水平方向の等速直線運動と鉛直方向の投げ上げ運動に分解