前回は、距離と変位の違いについて学びました。今回は、それを用いて速度の意味を確認したいと思います。
目標は、速度と速さの違いについて理解することです。
速度と速さ
速度の意味
速さは「移動距離を時間で割ったもの」でしたが、速度は「変位を時間で割ったもの」です。数式で表してみましょう。簡単のために、物体の動く速さは一定とします。
始めに時刻 \( t_1 \) で位置 \( x_1 \) にあった物体が、時刻 \( t_2 \) までに位置 \( x_2 \) へ移動したとき、その速度 \( v \) は、
\begin{align} v = \frac{ x_2 – x_1 }{ t_2 – t_1 } \end{align}
分母も分子も「あと」ー「まえ」の形になっていますね。速度も変位と同様に、負の値をとることがあります。注意しましょう。
速度と速さの違い
速度と速さの違いを一言で言うと、速度は「大きさ」と「向き」を持っていて、速さは「大きさ」しかないということです。これだけだと『どういうことだ?』となってしまうので、例題を通してその意味を確認しましょう。
例題:速度と速さの違い
「右向き正とした\( x \)軸上で、一定の速さで運動する物体があります。5秒間で、位置\( x_1=15 \)から\( x_2=5 \)まで移動したとき、この物体の速度と速さを求めなさい。」
この例題の解答は、
\begin{align} 速度 = \frac{5-15}{5} = -2 \end{align}
\begin{align} 速さ = \frac{|5-15|}{5} = 2 \end{align}
となります。そう、速度と速さで符号が違いますね。
速さは「大きさ」しかもたないので常に正ですが、速度は「向き」もありますから、正の向きと同じ向きなら正、逆向きなら負になるのです。
速度を表現する
速度は「大きさ」と「向き」をもつので、矢印を使って表現することができます。
矢印の長さが速度の大きさ、矢印の向きが速度の向きを表します。
まとめ
今回学んだことのおさらいです。
速度や速さについて学んできましたが、これまでの速度・速さの大きさは一定で、時間によって変化することはありませんでした。しかし、実際の現象を表そうとすると、そうもいきません。
次回は、速度が変化するときに考える加速度というものについて学びましょう。
② 速さは「大きさ」だけ、速度は「大きさ」と「向き」がある
③ 矢印の長さが速度の大きさ、矢印の向きが速度の向き