実は「距離」と「変位」は違う意味を持ちます。そして、変位の考え方は、物理で今後何度も出てくる、とても重要なものです。
今回は、距離と変位の違いを理解することを目標に頑張りましょう。
変位とは
正の方向と負の方向
物理では、物体がどちらに動いたのかをはっきり表すために、正の方向決めて座標軸を引きます(大抵右向きが正)。これから問題に答える際にも、正の方向・負の方向はとても大事なので、常に気を付けてください!
変位の意味
さて、正の方向を決めたら、これで変位を表すことができます。簡単に言うと、変位とは「物体の位置がどれだけ変化したか」です。
はじめ座標 \( x_1 \) の地点にあった物体が、座標 \( x_2 \) の地点に進んだときの変位 \( \Delta x \) は次のようになります
変位は物体の位置が変化した量なので、「あと」の座標 \( x_2 \) から「まえ」の座標 \( x_1 \) を引いたものになります。
距離と変位の違い
『じゃあ距離と変位って何が違うの?』と思ったあなたはするどい!
一言で言うと、距離というのは「今まで進んできた道の長さ」で、変位というのは「始めと最後で、位置がどれだけ変わったか」です。よって、距離は絶対に正の値しかとりませんが、変位は負の値をとることがあります。次の例をみてくだい。
聞かれているのが距離なのか変位なのか、少し注意して答えるようにしましょう。
この距離と変位の違いについて、図を使って眺めてみましょう。下の図を見てください。
A地点からB地点まで緑の線に沿って進んだとき、この緑の線が距離で、赤い線が変位です。距離は遠回りするほど増えていきます。もっとわかりやすい例が次の図です。
一周ぐるっと回れば、「まえ」と「あと」で同じ位置にいるので、変位は0。しかし、距離は緑の線の部分なので、0ではありません。なんとなく、わかってもらえたでしょうか?
少し難しいかもしれませんが、発展的説明がベクトルとスカラーにもありますので、ぜひ参照してください。
まとめ
今回の話をおさらいしましょう。
② \( 変位 =「あとの位置」ー「まえの位置」 \)
③ 距離は「今まで進んだ道の長さ」変位は「始めと最後の、位置の変化」
どうでしょう?距離と変位の違いについて、わかっていただけましたか?
この距離と変位の違いは、次回の速さと速度の違いにつながっています。